マネキン主演の異色コメディ『オー!マイキー』で一世を風靡した映像作家石橋義正がオリジナル脚本を自ら映画化した、ダンス満載のラブファンタジー。演技的な振り幅の広さに定評のあるカメレオン俳優・山田孝之が少年のような不思議な男性・青春相談員・片目の浪人の1人3役に挑む。特殊撮影とCGを駆使した殺陣のシーンも見どころだ。
ある日、少年のような姿の不思議な男性オブレネリ ブレネリギャー(山田孝之)が公園のベンチに座って暇をつぶしていたところ神々しい美女偉大なミロクローゼ(マイコ)がやって来る。一瞬にして胸がトキめいたオブレネリ ブレネリギャーはこれまでのサエない人生が一変。彼女のために必死に働き一緒に住むために家まで購入する。幸せな生活を手にいれて心躍るがそれもつかの間、関係がギクシャクしはじめ、さらに偉大なミロクローゼが別の男性と仲良く歩いているところを目撃。恋に破れたオブレネリ ブレネリギャーはショックで心にぽっかり穴が空き、鍋ぶたでそれを塞ぎながら孤独に生きることになる。
一方、青春相談員・熊谷ベッソン(山田孝之)は、毒舌、白のタキシード、小太り、奇抜なヘアスタイルで異彩を放ち、狙った女は必ず落とすというダンディな男であった。「半年付き合っている彼女がいるのですが本当に自分に気があるのか確かめたい」「新幹線の販売員に夢中になったのですが、どうしたらいいですか」「女の子に積極的に行動を起こす勇気がないのですが」そんなセンチメンタルでピュアな悩みを抱えた青年たちもベッソンにかかれば瞬時にプレイボーイへと大変身。超上から目線、失礼極まりない罵倒に次ぐ罵倒、さらに秘書のオネーチャンと激しく踊りながらめくるめくように問題を解決に導く。事務所にいる時はもちろんのこと、車に乗っている時も彼のもとには相談の電話がひっきりなしに飛びこんでくる。そんな中、世界中の誰よりもテンションが上がった彼の車は人を撥ねても気がつかず走り去っていく。
撥ねられたのは恋人・ユリ(石橋杏奈)の行方を探す片目の浪人・タモン(山田孝之)。花屋で働くユリに惚れ身長2メートルの彼氏との激闘の末に見事ハートを射止めるも謎の盗賊団に彼女をさらわれてしまった悲劇の青年だ。タモンはユリを取り戻すため時空までも超えてあらゆる危険な場所で彼女を探し求める。それから数年の流浪を経てついに刺青師・蛾禅(鈴木清順)から重要な手がかりを入手。情報をもとにたどり着いたのは絶世の女郎たちが在籍する遊郭“天柘楼”だった。タモンは、ユリを見つけだすが・・・。
オブレネリ ブレネリギャーは38歳になっていた。たまに有給を取り2泊3日で秘湯を巡るのを唯一の楽しみにしていた。なきゃむらという旅館にてなんと偉大なミロクローゼと再会する。なきゃむらと偉大なミロクローゼは12年前に結婚していたのだ。しかし偉大なミロクローゼを諦めきれないオブレネリ ブレネリギャーは一緒にあの家で暮らそうと言いたい言いたいと思いながらタイミングを逃してしまう。そしてなきゃむらと偉大なミロクローゼと三人でお昼ご飯を食べていた時に言ってしまう。もちろん激昂したなきゃむらに殴られて旅館をあとにすることに、最後にお元気でと偉大なミロクローゼに言われる。帰ってきたオブレネリ ブレネリギャーは偉大なミロクローゼと暮らしたあの家を二人で行った海へ沈めてしまう。そしたら、胸の穴を塞いでいた鍋ふたが取れ気分も軽くなり海を泳いだり走ったりスキップしたりして前の家に帰ってきた。そしたら親友の猫も帰ってきた。それからオブレネリ ブレネリギャーはそれなりに幸せになりそれなりに亡くなりました。
キャスト
オブレネリ ブレネリギャー/熊谷ベッソン/多聞(タモン)
山田孝之
ミロクローゼ マイコ
蜘蛛伊/ユリ 石橋杏奈
お竜 原田美枝子
蛾禅 鈴木清順
新幹線パーサー 佐藤めぐみ
雪音 岩佐真悠子
賭場オーナー 武藤敬司
なきゃむら 奥田瑛二
スタッフ
監督 石橋義正
脚本 石橋義正
プロデューサー
泉正隆 小澤俊晴 齋藤寛明 石橋義正
撮影 小山田勝治
美術 石橋義正
音楽
石橋義正 久保田修 生駒祐子 清水恒輔
主題曲/主題歌 ONE OK ROCK
録音 浦田和治 弦巻裕
音響効果 柴崎憲治
照明 赤津淳一
編集 石橋義正
ヘアメイク HARIO!? 南辻光宏
キャスティング 杉野剛
製作担当 斉藤大和 的場明日香
CG 合田健二
特殊メイク JIRO
製作年 2010年
製作国 日本
配給 ディーライツ=カズモ
上映時間 90分
理屈抜きに面白いし感動するし疾走感と色彩感がすごい。山田孝之だからできるんだろう。特に片目の浪人・タモンが愛のために生きていてかっこいい。一方青春相談員・熊谷ベッソンのくだりは面白い。オブレネリ ブレネリギャーの物語がまた刹那いようなハッピーなようでとてもよい。一瞬ナレーションがあるウッディアレンのような展開だなと思いつつも突き抜けていてすごくいい作品。