映画「キャタピラー」~フォルツァ総曲輪
映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』など独特の視点で問題作を発表し続ける若松孝二監督が、戦争の愚かさと悲しみを描いた反戦ドラマ。太平洋戦争のさなかに手足を失って帰還した傷病兵とその妻の姿を描く。四肢を失い、顔は焼けただれた姿となって戦場から戻る久蔵に大西信満。その久蔵を看病するシゲ子を寺島しのぶが演じ、第60回ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。正義のための戦争などないという若松監督の痛切な思いが、過激な描写で語られていく。
勇ましく戦場へと出征していったシゲ子の夫、久蔵。しかし戦地からシゲ子(寺島しのぶ)の元に帰ってきた久蔵(大西信満)は、顔面が焼けただれ、四肢を失った姿だった。多くの勲章を胸に、「生ける軍神」と祭り上げられる久蔵。シゲ子は戸惑いつつも軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くしていくが……。
キャスト・スタッフ
監督
若松孝二
製作総指揮 ―
原作 ―
脚本
黒沢久子
出口出
音楽
サリー久保田
岡田ユミ
寺島しのぶ
役名:黒川シゲ子
大西信満
役名:黒川久蔵
吉澤健
役名:黒川健蔵
粕谷佳五
役名:黒川忠
増田恵美
役名:黒川千代
河原さぶ
役名:村長
石川真希
役名:村長夫人
飯島大介
役名:司令部軍人
地曵豪
役名:軍人1
ARATA
役名:軍人2
篠原勝之
役名:クマ
小倉一郎
役名:ー
製作年度 2010年
製作国・地域 日本
原題 ―
別題 ―
受賞歴
2010年
ベルリン国際映画祭
銀熊賞(女優賞)
夫の久蔵は、戦争で四肢を失い、顔もただれ、話すこともできず、耳も聴こえにくい状態で帰ってきた。生ける軍神と崇められ、勲章もいただき、村のヒーローとして迎えられるが、妻のシゲ子の戸惑いは大きかったが、軍神の妻として生きようと最初は思い尽くすが、だんだんと食べる、寝る、食べる、寝るばかりの生活に碧壁として久蔵に冷たく接するようになる。それはまるで久蔵から暴力を受けてきたことを復讐をするかのように。軍神としての誇りだけを胸に生きてきた夫・久蔵、やがて敗戦を迎える。その時、夫・久蔵は、何かが弾けてしまったように最期の時を迎える。戦争の惨さ、理不尽さ、不条理さ、こころの支配、歪み、差別・・・多くのことがこの作品を通じて見えてくるというか、こころに入ってきて、感じて響いてくる。決してこのことを忘却してはいけないし、過去のことと片付けてもいけない。私たちの世代から始めないといけない。
久蔵役の大西信満さんと軍人役の井浦新さんに公式ガイドブック(1000円)にサインをいただき、握手、お話させていただきました。
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