スティーブ・ジョブズが師と仰いだ起業家でアタリ社設立し世界的に有名になったアーケードゲーム・ポンで一世を風靡したノーラン・ブッシュネルによるアドバイス本。
まだ無名だったスティーブ・ジョブズの才能を見出し40人目の社員として雇ったことでも有名でクリエイティブな組織を作るための採用の話など実例を豊富に書いた一冊。
まとめ
職場を「広告」にせよ。
靴が1足売れるたびに発展途上国の子どもに靴を1足贈るという会社がカリフォルニア州にある。この会社TOMSでは、創業者であるブレイク・マイコスキーの肩書が最高経営責任者ならぬ「最高靴贈与者」となっているし、そのほかにも「靴貼役」、「靴守役」、「靴揃役」、「シュー・パー・ウーマン」とひと味もふた味も変わ
った肩書が並ぶ。
クリエイティブな求人広告を打て。
もうひとつ、私のお気に入りを紹介しよう。家具の会社、イケアのオーストラリア支社が大量採用で使った方法なのだが、「職業の組立説明書」という楽しいチラシを作り、販売している家具の箱に入れたのだ。その結果、4285人が応募し、そのうち280人が採用されて、無事、職業の組立に成功したという。
情熱をもつ人々は、面接時、自分についてとりとめもなく話をすることもなければ、いろいろと質問をすることもなく、会社について思いの丈をぶつけてくる。あらかじめ勉強していて、面接で話したいことがはっきりしているのだ。
多趣味な人を雇え。
1940年代、航空業界大手、ロッキード社が特殊な開発をする部署をつくり「スカンクワークス」と名付けたところ、その部署は大成功。その名前がほかでも使われるようになった。いまスカンクワークスといえば、組織内のグループで、最先端か秘密の案件を推進する独立性の高いものを指す。
ダイソン社を創業したジェームズ・ダイソンもそうで、なんとしてもすばらしい掃除機を作るのだとプロトタイプを5000種類以上も作り、400万ドル以上も借金を抱えた時期がある。だが、2011年にはダイソンは10億ドル以上を売り上げたし、ダイソンの個人資産は20億ドル以上だといわれている。
節目の締め切りを設ければ、クリエイティブな人が本当の締め切りに間に合う可能性が高くなるのだ。
実は、こういう場合、学ぶ側に回ったほうが尊敬される。上司が学ぶ側に回れば、クリエイティブな人はちょっといい気分になれるし、自分の知識をひけらかし頭がいいところを見せられる。
映画を観たあとのパーティーで、私は、すごいアニメーションテクノロジーだったとスティーブにお祝いの言葉をかけた。「いい仕事をしたな」彼はにっこり笑い、「行動したからね」といって人混みに消えていった。