『悼む人』で直木賞を受賞した天童荒太の不朽の名作ミステリー『家族狩り』を映像化!!
『孤独の歌声』『永遠の仔』『包帯クラブ』『悼む人』など常に「人間とは何か」と作品を通して問い続けてきた天童荒太氏が1995年に発表1996年に山本周五郎賞を受賞し文庫120万部ベストセラーの種子となった大作『家族狩り』
家族とは何か生きるとはどういうことかという根源的な問いに真正面から挑んだ長編小説は多くの人に衝撃を与えた。
そして2004年。
天童氏は、書籍版(単行本)の文書を一行たりとも使わないという徹底ぶりでこの作品をあらゆる面において深化させた全五巻の文庫版『家族狩り』を発表。全面的に改稿した文庫版では人間の醜さ、悲しさ、気高さ、そのすべてを描いた。家族や社会に惑う群像たちをさらなる次元まで引き上げ新たな使命を担う陰影ゆたかな人物を登場させより深くより高い物語を完成させたのだ。
2007年に公開された映画『包帯クラブ』(原作・天童荒太)で天童氏と出会ったプロデューサーの植田博樹はこの頃天童氏の作品でまだ映像化されていない作品『家族狩り』を知る。表面的な痛みとは異なり愛とは何か家族とは何かを世に強く訴えかけたいんだと天童氏の思いを感じた植田は「TBSでしか出来ない作品だ」と確信。そしてドラマ化するのであれば「いろんな表現をごまかしてはやりたくない」と決意する。その後ドラマ化するにあたり方向性で悩んでいた植田だが「天童さんと会話しながら映像化へのヒントを頂いた。その時にテレビ版・家族狩りが見えた!!」といい盟友・大石静に脚本を依頼。「天童さんがテレビドラマを作るときはこういう目線で作られるのではないか?ということを考えながら作りました。天童さん自身の思いを込めたいわば天童さんのリライトです」と天童氏が抱いているであろうこの世界への危機感、家族に対する思いや伝えたい感情などを脚本に込めた。そして「家族であり続ける、成立させ続けるにはエネルギーがものすごく必要です。うまくいかないこともある。カッコよくもないかもしれないけど不器用さを含め自分達の家族をもう一度作り上げる、振り返って立ち返ってみる。何事もやり直せる!という思いをこのドラマを通して伝えていきたい」と意気込みを語った。
この夏さまざまな鎖から身を解き放ち自らの手に人生を取り戻そうとする人々の姿を骨太かつエンターテイメント性豊かにお届けする。
原作紹介
天童荒太『家族狩り 第一部~第五部』(新潮文庫刊)
高校教師・巣藤浚介は恋人と家庭をつくることに強い抵抗を感じていた。馬見原光毅警部補はある母子との旅の終わりに心の疼きを抱いた。児童相談センターに勤める氷崎游子は虐待される女児に胸を痛めていた。女子高生による傷害事件が運命の出会いを生んだ。そして悲劇によって結ばれた人びとは奔流のなかでそれぞれの生に目覚めてゆく。人間の醜さ、哀しさ、気高さ──、そのすべてを描く、天童荒太の代表作。
◆天童荒太Profile
1960(昭和35)年愛媛県生まれ。'86年「白の家族」で野性時代新人文学賞を受賞。映画の原作・脚本を手がけたのち'93(平成5)年に『孤独の歌声』が日本推理サスペンス大賞優秀作となる。'96年『家族狩り』で山本周五郎賞を2000年には『永遠の仔』で日本推理作家協会賞を受賞。'04年『家族狩り』(オリジナル版)の構想を元に新たに書き下ろした新潮文庫版『家族狩り』全5巻が話題を呼ぶ。同年『家族狩り』『永遠の仔』(文庫版)で王様のブランチBOOK大賞を受賞する。'09年『悼む人』で直木賞を受賞。'13年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『静人日記』などがある。
◆天童荒太さんコメント
──率直な感想をお聞かせください。
素晴らしい演技力を持たれているキャストの皆さんに出演していただき信頼する植田プロデューサー(拙著『包帯クラブ』の映画化でもお世話になりました)をはじめとした熱意あふれるスタッフが集まってくださり光栄に思っています。台本を拝見しましたがホームドラマとハードなサスペンスが共存している、近年まれなすぐれたドラマになるに違いないとぞくぞくしました。
──撮影現場をご覧になってみていかがですか?
小説『家族狩り』は今の社会に必要な問題をテーマとしていますがテレビドラマとしてどのように仕上がるのか正直なところ期待と不安がありました。しかし撮影現場に来てみるとすごく熱気があるしキャストもスタッフも本当に情熱を込めてホームドラマの温かい部分とサスペンスの緊張感をうまく融合させしかも社会性のあるメッセージを伝えようと懸命に力を注がれているのが伝わってきました。現場を見ているだけで正直熱くなってくるものがありました。
──ご自身で書いた作品と違和感はありますか?
自分が小説として表現したものが映像化される際には"違うものになるだろう"と覚悟しているのですが今回はとても原作を大事にしてくれていると感じました。その上で今という時代に向けてまた視聴者に向けて新しい形でテーマを深く強く訴えようとしていることが伝わってきて本当に嬉しく思いました。まったく違和感がないどころかドラマ『家族狩り』の一視聴者として心から楽しみにしています。
コメント
【松雪泰子さん】
──タイトルから衝撃的なドラマですが台本を読んだ感想はいかがですか?
とても面白いです。3つの家族・ストーリーラインが同時に進行していて少しずつ絡みあって行く構造。家族という形態の檻に縛られた人間達が織りなす、悲しみ、狂気、ユーモアがバランスよく表現されている脚本。素晴らしいです。
──外でも家でも懸命に生きる氷崎游子を演じてみていかがですか?
真っ直ぐ過ぎて生きる事が下手で不器用な人。常に飽和状態。何かのきっかけでもろく崩壊するギリギリのところを表現出来たらと思っています。
──原作者・天童荒太氏が撮影現場にいらっしゃいましたがどのような印象をもたれましたか?
とても穏やかに声をかけて頂いて撮影に望む力をいただきました。
天童さんの原作の世界観が本当に好きで今回はその崇高な部分はドラマではたくさんは描かないようですが個人的には日々自分が思う事とリンクする部分があります。改めて読み直すと奥深さに感嘆します。
──どんな方にこのドラマを見てもらいたいですか?
現代を生きる全ての人に見て頂きたいです。
【伊藤淳史さん】
──タイトルから衝撃的なドラマですがどのようなドラマになると思いますか?
凄い事に挑戦するんだなと思いました。何か凄い事が起きるんじゃないかという期待もあります。自分自身も挑戦したいと思いましたし今回参加できてとても嬉しいです。タイトルからは重いイメージを持たれると思いますが僕が演じる浚介のシーンは美歩や渓徳とのクスッと笑える場面があったりして重厚感のあるシーンとのいいバランスになればと思っています。
台本を読ませていただいて色々な登場人物に感情移入してその目線で楽しめる本当に面白い台本だと思いました。
──演じる巣藤浚介はどんなキャラクターですか?
登場人物の中で浚介は一番流されやすい人間ではあるんですけど真っ当な感じがしています。生きていく中で遭遇する色々な場面で簡単に答えを出せる優等生はなかなか居ないと思います。目の前で起こったことに対して割と素直な反応をする浚介は等身大で生っぽい人だと思います。
──原作者・天童荒太氏が現場にいらっしゃいましたが何かお話されましたか?
「台本も面白いしとにかくドラマを楽しみにしています」と天童先生に仰っていただきました。ドラマのチームを信頼して下さっているのを感じて先生にも楽しんでいただけるドラマになるよう改めて「精一杯やらせていただきます」と思いました。
──どんな方にこのドラマを見てもらいたいですか?
どの世代の人にでもそれぞれ楽しんでいただけると思いますがこれから家族を持つ人たちに是非見ていただきたいです。家族になって初めて気付く楽しい事もあれば辛い事もどちらもあると思いますのでそういう所が描かれたこのドラマを将来家族を持つであろう人たちにも見ていただいていろいろ想像したり感じていただけると嬉しいです。スタッフ・キャスト一同、現場で難しいテーマに真剣に取り組んでいますのでそのメッセージを是非受け取っていただければと思います。
【植田博樹プロデューサー】
主演の松雪さんは華があってお芝居がうまく人間の幅を演じわけられる女優さん。彼女の存在がドラマに安定を与えてくれます。さらに伊藤さんや遠藤さんをはじめとした俳優の皆さんが人間の弱さや気恥ずかしさを含めた原作の世界を丁寧に表現してくださっています。原作のどっしりとした世界観に負けない足腰の強い俳優さんたちだからこそ紡げるお話でTBSドラマの幅の広さを提示できる作品になるのではと思っています。
出演者
氷崎游子……松雪泰子
巣藤浚介……伊藤淳史
鈴木渓徳……北山宏光
冬島綾女……水野美紀
石倉真弓……篠田麻里子
椎村栄作……平岡祐太
清岡美歩……山口紗弥加
氷崎清太郎……井上真樹夫
馬見原佐和子……秋山菜津子
○
氷崎民子……浅田美代子
山賀葉子……財前直見(友情出演)
馬見原光毅……遠藤憲一
スタッフ
原作:天童荒太
『家族狩り 第一部~第五部』
(新潮文庫刊)
脚本:大石静 泉澤陽子
演出:坪井敏雄 山本剛義 伊藤雄介
プロデュース:植田博樹 長谷川晴彦(ROBOT)
製作著作:TBS