暑いからと言って冷房、
寒いからと言って暖房、
食い過ぎたと言っては消化剤、
こういう調子でやっておると、
人間の身体は鍛えられることがない。
生命というものは、
生命のつくる肉体というものは、
やはり鍛えていじめなければ、
徒長【とちよう】した麦と同様
ふらふらと伸びてしまって、
それこそ他愛もないものになってしまう。
肉体的にも精神的にも、
左様にして文明はいつも滅びる。
だからわれわれも先ず海舟の様に
鍛えなければいけない。
貧乏しても、
感激を生ずるだけのエネルギー・精神力を
持たなければいけない。
困難ここに到って神経衰弱を生ずるようではどうにもなりません。
↧
『安岡正篤活学一日一言』より(致知出版社刊)
↧