修業期間中の嫌なこと、辛いことを数え上げたら切りがないけど、
僕には必ず成功して店を持って自分の料理を世の中に認めていただく、
という夢があったから、これも訓練だと思って乗り越えてきました。
どちらかというと要領がよくない人間だし、
生意気に思われて先輩から殴られたり蹴られたりすることもたびたびありました。
しかし、上手く振る舞っているうちに自分の大切な人生の時間が、
奪われていくことを思ったら耐えられなかったですね。
僕は誰よりも料理に対する思いが強い人、誰よりも料理が好きな人になりたかった。
唯一、大将だけには勝てないと思っていたから、大将だけを見て必死についていったんです。
僕は苦労したと自分では認めない主義なんです。
苦労を苦労と思った瞬間に、本当に苦労になる。
だからいまも社員たちに「風邪をひいたと認めた瞬間に風邪をひくんだぞ」と言っています。
『致知』2014年2月号より