ベストセラー『自分の小さな箱から脱出する方法』の著者が日本向けに書き下ろした著書。
日本の地方都市に住む30代前半のビジネスマン主人公清水リョウが職場の部下との人間関係や自分の妻との人間関係を修復すべく動き出す。メンターとなる岡山氏のアドバイスを受け著者は大事な人との人間関係を修復できたのか?どうすれば人は「箱に入っている」状態から抜け出せるのか?学ぶ一冊。
まとめ
「そうだね。相手が100%悪いのに、感情を振りまわされて、気分が悪いのはこっち。しかも、相手は屁とも思っていないようなそぶりを見せる。どうだろう?これって割に合わないと思わない?」
昔ね、ある調査で、戦争から帰ってきた兵士に、『あなたはなぜ、人を殺したんですか』という質問をしたデータが残っているんだけど、兵士は、なんて答えたと思う?」「……わかりません。何ですか
?」「うん、その質問の答えで一番多かったのは、『上司に命令されたから』だったんだよ。
人には良心がある。だけど、組織全体が、この病気にかかっていると、人が人を殺すことさえ、やってのけてしまう。自分の良心に背いて。『上司が言うことだから、仕方ない』と自分をごまかしてしまうんだよ。
心の持ち方には、大きく分けて2つある。まず、一つめは、人を人として見る【思いやりの心】。(中略)もう一つは、人をモノとして見る【抵抗心】。相手をモノとして見ると、じつは現状を見ていないということが起こる。事実が見えなくなるんだよ。
相手をモノとして見る見方は大きく分けて、次の3つがある。
(1)相手を「邪魔なモノ」「障害物」として見る。
(2)相手を「便利な道具」として見る。
(3)相手を「無関係」「無関心」な存在として見る。
自分がしようと思ったことをしない場合、自己裏切りが起こり、自分を裏切ると、こんどは相手は悪いやつで、自分がそうしても仕方なかったと、自己正当化するようになるんだよ。「自分はそれをしなくてもいい」という正当化だね。この相手を非難し、自分を正当化している状態を、僕たちは『箱に入っている』と定義しているんだ。
「グループ共謀というのは、自分を正当化したいがために『仲間集め』を始めること。つまり、リョウちゃんにとって吉本クンは悪い人だ、と証明するために、部長にグループ共謀をしかけるんだよ。『部長聞いてくださいよ。吉本のやつですね……』ってね。」
いったん虚構の世界で起こっていることが自分の力のおかげだと思うと、なかなか抜け出せない。その世界でのうのうと暮らしていくんだ。僕もそんな甘い誘惑に引きずり込まれないように気をつけているんだよ。